2018-01-01から1年間の記事一覧

神学部の「分厚い記述」

先日,現在いる神学部の学位授与と科目履修登録ガイドラインを読んで,つい腰を抜かしてしまった。この神学部では伝統的なアカデミックな学位である哲学博士と文学修士のほかに,1年間の短期で取れる宗教学修士,そして3年かけて取る,宗教家の最初の学位…

研究に際する精神的支柱

アメリカの連邦政府自殺防止月間ということで,私も何か啓蒙活動に参加しようと思う。そして,いま大学院生のメンタルは重大な危機に瀕しているという。自分も鬱などの精神疾患を抱えつつ大学を卒業したので,疾患がどれだけ研究者にとって負担になるのかは…

大学院入試の体験とその反省

わたしが学部でアメリカの大学を卒業した関係で,アメリカ国内の大学院に挑戦するほうがいろいろな便宜が立ったため,たくさん移り目をしつつも,アメリカの大学院を7~8校受けた。日本の大学院も,トップ校になればなるほど,研究設備と厚生が整っており…

歴史を書くときの基本形

おそらく日本で中等教育を受けてアメリカなど英語圏に留学する場合,ディスカッションなどの討論よりも,エッセーを書く方が得意だ,という人が多いと思います。エッセーはどれだけ時間をかけて書いても相手に辛抱強く読んでもらえますから,実際の口頭での…

はじめに

2018年6月4日 最終更新 ・ 赤枝 進一 赤枝進一はヒョンなことでブログなるものを始めることにした。紀貫之が「おんなのすなるにき」と言った程度に,私は自分がブログをすることになるとは夢にも思わなかった。理由は2つある。自分に時間がないと思っ…

生活の簡潔さについて

著名な社会学者がまず宗教に着目する理由は個人生活のシステムが露わになるからであろう。修道院規則,比丘の戒律など,宗教者が理想とする生活の美が法として定められていて,それが千数百年のあいだ不変な伝統としているというのはある意味で奇跡である。…

人文学に生きるための方法論

私が人文学系の道を選んだのは,いま思えばもっとも自然な選択であったようだが,このことを高校生のときの自分に分からせようとするのは至難といえる。特に,人文学部卒の職種はとてつもなく広い。将来のイメージが湧かないというのは,もはや世界の常識に…